【SS】5年後お妙さんの一度だけの弱音
写真のように時が止まった。
いつもは強気な姉の、こんな弱気な発言ははじめてかもしれない。
聞きたくなかったし見たくなかった。
でも目が離せなかった。
目の前の花火を魂に焼きつけるように見つめる横顔は、自分がいままで見てきた姉の表情の中で一番綺麗だったからだ。
その場にいた誰もがきっと見とれていた。
同時に何もできない自分がひたすら憎らしかった。
花火の音だけが一人うるさくあたりに響いている。夏の終わりを知らせるように。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「5年後の新八とお妙さん」